西尾維新『ヒトクイマジカル 殺戮奇術の匂宮兄妹』講談社文庫、2008年

ヒトクイマジカル<殺戮奇術の匂宮兄妹> (講談社文庫)

ノベルズ版を読んでいるので、再読になります。

最早、ミステリとかそういうのは置き去りにして、至極楽しんでいます。キャラクターが縦横無尽に動き回る(物理的に且つ精神的に)というのは、ただただそれだけで楽しめるもので、それがこの作品の特徴であり、最早読者が求めるものになるかと思います。

特にこの巻はみいこさんが主人公にカツを入れるところが見せ場でしょうか。結局のところ、どいつもこいつも話が長いので、たまにそういうキャラが現れると刹那的に華やかに見えてしまいますね。それにしても、一応、ミステリの形式を取るため、主人公が事件の真相を述べていく場面が挿入されていくというのも、実はほとんど意味をなさないのではないかとも思ってしまう始末。実際、第1作に比べると、ミステリの要素はかなり薄まっているような気がします。登場人物たちが作中で、問題視しているのは事件ではなく、それに対する心の有り様というか、精神的な側面を重視しているわけですし。

というわけで、次はシリーズ最後。どういう形式で文庫化するのだろうか。3ヶ月連続刊行というよりは一気に出して欲しいものです。