檜山大輔『メガロマニア』1巻、スクウェア・エニックス、2007年

メガロマニア 1 (ガンガンコミックス)

買ったはいいが、積ん読状態だった作品。なかなか面白い。

簡単に書けば、人間とその人間によって創られた亜人との差別問題を取り上げた作品です。人種間の問題というのは指輪物語を筆頭として、多数あるわけです。ドワーフとエルフとか。ロードス島で見事にその関係性をトレースしているのには笑いましたが、ファンタジーとしての基本的価値観に基づいたものなのでしょう。あとハーフエルフやダークエルフの問題とかも。コクーン・ワールドのタリアに関しては書く必要もないというのに(何せ彼女はあんなんでも呼称は「姫」でしたから)、ハーフエルフが差別対象的な存在であることが明記されていました。ハガレンのイシュヴァール人の問題は現代的な感覚のフィードバックでしょう。

というところなのですが、いわゆる一つの萌え要素という点では、換言すればデータベース消費的には、亜人というのが何の抵抗もなく、受け入れられ、消費されている・・・という現状には結構、違和感を覚えていました。冷静に考えれば、耳が犬のやつがいたら、おかしいだろう。ホームズが犬だったら、おかしいだろう(笑)。ハドソン夫人が美人で若いのは良いのですが。彼らの存在が自明とならず・・・と考えての物語が、ようやく出てくるようになってきたのは、一つの兆候でしょうか。それとも単に状況が飽和的になってきたのでしょうか。何より示唆的なのは、この作品の亜人が人為的結果による存在であるということだと思います。