綾辻行人『暗黒館の殺人』4巻、講談社文庫

暗黒館の殺人 4 (4) (講談社文庫 あ 52-18)

無事に読み終わりました。4巻丸ごと解決編ではあったわけですが、3巻まで至るところで奇妙なほど浮遊していた「視点」を、どのように決着つけるのかと思っていたら、そういう・・・。その点はミステリィ的なリアリティある解決ではありませんでしたが、それすら許してしまう魅力があります。

それは小説、というよりは「館シリーズ」に貫き通されている異常なまでの「建物」に対する執着によるものでしょう。その異形さがあってこそ、この原点ともいえる暗黒館での出来事がある意味では論理性すら吹き飛ばして、正当性を主張し得ると錯覚できる状況になったのではないかと思います。

何はともあれ堪能しました。