谷川流『学校を出よう!』1〜6巻、電撃文庫

学校を出よう!―Escape from The School (電撃文庫)

少しネタバレあります。

ようやく読みました『学校を出よう』。ハルヒ俺の嫁とか叫んでいたときに、1巻だけ読んでいたのですが、後は全て積ん読状態でした。せっかくの夏休みだし、暑くて仕事とか諸々へのやる気が起きないので、一気に読みました。すみません。面白かったです。とはいえ、限定的な面白さ。

1巻は何が何だか、SF的設定を咀嚼しているうちに終わったような記憶が・・・2巻は展開としては面白かったのですが、舞台を学園の外に移している。というわけで3巻から真っ当な感じで読み始めました。が4巻から加速しました。キャラが素直に頭の中で動き出したのと同時に、やはり「世界」という概念が突如として出てきたことも要因の一つでしょうか。

セカイ系としてしまえばそれまでですが、宇宙という概念と並べながら、世界の複数化を話す宮野が個人的には違和感を覚えます。上位世界によってその相対的下位世界が改変されるというメタ的な構造を打ち出してきたのは、改変という点では『涼宮ハルヒ』でも同様のことをやっているので、ため息一つついて読み進めましたが、いや、しかし、うーん。「涼宮ハルヒ」という強烈なパーソナリティの元での説明だと問答無用で納得していなくても納得したフリをしますが、有限の世界があるという時点で論理的な欠陥だらけなのですが・・・。

そもそも「世界」概念の説明をすっ飛ばした時点で、その矛盾も全て捨象すべきことなのです。物語は面白い。散りばめた伏線を見事に昇華していくのは本当にお見事。極めてゲーム的な展開になり、他者の干渉が行われ、分岐していく6巻は、「ハルヒ」を見ても一つの到達点です。この後、どうなるのでしょう。とりあえずハルヒ待ちです。『学校を出よう』はもう何年続巻が出ていないのでしょうか。