倉島圭『24のひとみ』3巻、秋田書店、2007年

24のひとみ 3 (3)

ギャグ漫画というのは、どうしても一本調子になりがちで、この3巻も同様な雰囲気を醸し出してきたように思えます。ひたすらひとみ先生が嘘を付き続ける、というだけのこの作品は、嘘の前では全ての存在がフラットになりうるという点で非常に面白い作品です。嘘を付いている主体が教師という存在であることを考えるまでもなく、嘘を付かれている対象が生徒だけでなく、同僚の教師や上司、はたまた警察などの国家権力にまで至っているということも面白さに拍車をかけています。特に派出所の警官がよくいじられているのは、意図的なのでしょうね。

嘘というストーリー上の明確な点だけではなく、コマの中の細部にいたるまでギャグが散りばめられている点も特徴的でしょう。全く話とは関係のない事物が描かれていると、思わず目がそこに走らされてしまいます。たまにそのコマ内で発せられたセリフのギャグに相当するんだ、と思い当たることもありますが、ほとんど自由気ままに描いているのではないでしょうか。と思ってしまうほど、練りこまれて描かれています。

マンネリなどと言っておきながら、この巻の目玉は嘘をつかれるひとみ先生でしょう。なかなか見ものです。