雨木シュウスケ『コンフィデンシャル・コール 鋼殻のレギオス4』富士見ファンタジア文庫

コンフィデンシャル・コール―鋼殻のレギオス〈4〉

鋼殻のレギオス・シリーズの4巻目にあたります。読み始めの頃(1巻ぐらい)は登場人物たちと読み手としての自分自身がフィットせず、特に戦闘シーンなどは何をしているのかよく分からなくて非常に困ったことを覚えています。

しかし、1巻でひたすら悩み続ける主人公の位置付けがようやく理解できるようになった時点から、面白さは加速し始めました。幼い、ということ以外、表現のしようがない年齢で天剣授受者となった主人公レイフォンにとって、新天地は如何にして剣を振るわないか、というただその一点を追求するためにやって来た場所だといえます。結局のところ、武芸者として様々な戦闘に飲み込まれていきながらも、剣を振るう理由付けを読者が嫌になるほど悩み続ける主人公像というのは、逆説的にはライトノベルとしては非常に合致した存在なのかもしれません。

既に、「最強」という概念の一部に入ってしまっている主人公が、どこまで「成長」を遂げていくのか、2巻以降はその興味を中心としながら、彼の所属する小隊を機軸として進んでいく話に目を奪われていきます。特にこの4巻は狙撃手のシャーニッドのお話。チープな感じでしたが、そう、忘れてならないのは、これは学園物でもあります。

そして次巻は幼馴染到着でラブコメ・・・だといいな。