あずまきよひこ『よつばと』9巻、角川グループパブリッシング

よつばと!  9 (電撃コミックス)

発売されてから何度も読み返している。もう誰も文句の付けようのない珠玉の名作ではあろう。

9巻は意外にも結構、あさぎの出番が多かったのが印象的です。特にこれまで彼女は大学生という立場上か、普段家にいる機会も少なく、綾瀬家の中ではそれほど突っ込んで描かれることのないキャラクターでした。よつばという幼稚園入園前の存在を通して物語が描かれている以上、登場してくるのは翻訳業で家に居続ける父親、隣家の母親、その小学生の娘が主たるところであり、高校生の娘がそこに絡んでくるので人物の構図的にはまあ、満足ともいうべき布陣でしょう。綾瀬家の父親が悲しいぐらい出てこないのは出てこないことにアイデンティティがあるので、別に構いませんが、あさぎは基本的に距離感のある存在であったことは間違いありません。

しかしこの巻では普段よく絡んでくる風香を遠ざけて、よつば、父親、あさぎ、恵那、虎子という布陣で気球大会を見学しに行くわけです。というわけで、これでもmixiのあさぎコミュの管理人であるので、あさぎをじっと目で追ってしまうわけですが、彼女の人間性というものがよつばをめぐる中で色々と出てきて、非常に満足のできる巻でした。ある意味で奇人でありつつも、暖かい目線を常に備えた父親ときちんとコミュニケーションが取れることにも驚きました。

まあ、飴なんて買えばいいんですよ。でも、綾瀬家はどれだけ金持ちなんだと毎回思います。