渡航『あやかしがたり2』ガガガ文庫、2009年

あやかしがたり 2 (ガガガ文庫)

前回は幕藩制下の行政的な側面のなかで田沼意次をモチーフにした人物への評価が、フィクションとしては非常に目新しいものでした。藤田覚でも読んだのであろうか。と思ったら、この2巻は網野的世界観です。「山人」と呼ばれる人々が登場。

行政区画から外れた山間で生きる人々ってサンカですか。というところですが、あやかし2匹(2人?)とともに行動をし、社会的制約から感情的に抜け出そうとする主人公もまた実にマージナルですね。しかし、彼の志向性自体は普遍性を求めるというのも興味深かったが、冷静に考えたら少年マンガの主人公的とも言えるわけです。少年マンガの主人公も常に対抗概念を打ち破り続けなければならない。主人公も10代のようなので、この種の法則からはさすがに逃れられないようで。