大石まさる『おいでませり』1巻、少年画法社

おいでませり 1 (ヤングキングコミックス)

帯に「日々、がんばりません」と書かれているように、とにかく主人公はがんばらない作品。しかし、この人の作風によるのか別にだらだらと物語が進んでいくというわけではありません。逆にいえば、これほど様々な出来事が沸き起こっているにも関わらず、主人公が何もしていないという印象が崩れないのはお見事。

水惑星年代記シリーズもそうでしたが、これまでの作品だと社会から外れてはいるが夢や希望を追いかけることには一生懸命だったり、近未来でそこに流れる自然や空気感(というのか)に身を任せる人たちを描いていたわけですが、今回も路線は同じように感じます。「がんばらない」という命題はきっちりしていますが、何もしないで引き篭もっているわけではなく、日々を楽しむことはきちんとしている。そして何より作者の作品群に底流しているのが、主人公たちの多くが漂泊をし、環境の変化にも対応していること。これは見事。この作品のセリさんもどうやら全く違った場所(海?)から来たらしいけれども、そんなことは微塵も感じさせず、世界に物語に馴染んでいます。

そんなわけでリリースされたら購入している大石まさるの作品でした。次も楽しみだなあ。