野村美月『“文学少女”と神に臨む作家』上下巻、エンターブレイン

“文学少女”と神に臨む作家 上 (ファミ通文庫)

“文学少女” と神に臨む作家 下 (ファミ通文庫)

ようやく読み終わりました。上巻は去年出たときにすぐに読み、続きが気になって仕方ないと身悶えする感じであったというのに、下巻を読み終わるのに時間がかかりました。半年ぐらいは放置していましたか。やはりその理由としては、何よりこれが物語のラストになってしまうのかという怖さが存在しているのと、そして確実に心葉くんは誰かを傷付けた上で結論を出すであろうがゆえに、それをわざわざ読まないといけないのだろうかという疑問でした。疑問というよりは単に読者のエゴですね。

しかし、時は行き過ぎ、どうやら外伝やら何やらがどんどん出ているというのを知って、重い腰を上げてようやく読書再開。見事なラストは正直、静かな感激に襲われるものでした。素晴らしい。とらわれていた過去を見事に解きほぐし、前へと向き、歩みを始める。全くもってミステリの体裁をなしていないにも関わらず、謎を古典的な文学作品になぞらえて解明していくという手法はこの最後になって登場人物たち自分自身が一歩進むために必要なものでした。

さて、次は短編集です。