細音啓『黄昏色の詠使いIX ソフィア、詠と絆と涙を抱いて』富士見ファンタジア文庫

黄昏色の詠使いIX  ソフィア、詠と絆と涙を抱いて (富士見ファンタジア文庫)

極めて単純な物語でほっとする。いわゆる「キミとボク」の物語であって、クルーエルとネイトという二人を廻って物語の全ては進んでいきます。都市が丸ごと吹っ飛ぼうと、世界の理が改変されそうであろうとも、その全ての原因であり、物語の起爆剤であるのは、この二人です。

しかし、次の巻でついに最終巻。物語が大きくなり、このままさらに広がっていくのかと思っていたら、そうではなく結局、ネイトがクルーエルを取り戻そうとするその行動に収斂してしまい、個人的にそんなものかと思っていることもまた事実ではあります。残念なところ半分、納得しているところ半分といった感じでしょうか。詠うという行為が個人対大衆になるのか、もしくは個人対世界になるのかと思いきや、個人対個人であったというわけです。極めてシンプル。