支倉凍砂『狼と香辛料』10巻、電撃文庫

狼と香辛料〈10〉 (電撃文庫)

もう10巻まで来ました。

とりあえずロレンスとホロ、さらにはコルとの旅はどんどん続きます。読者としては最早マンネリを感じるように、旅先でトラブルに巻き込まれ→商売の知識やらで解決→次の町へ、という何ともRPGをやっているような展開が続きます。ただ、面白いのは、こうやって王道を歩んでいるにも関わらず、登場人物たちは確実に最終地点への到着に近付いていること、つまり旅の終わりを惜しんでいる様子が次第に焦燥としてあらわれはじめている点でしょうか。非日常はいつまでも続きません。ロレンスとホロというより、コルとの別れがまず来るのでしょうか。

しかし、それでも先は長い。終着へ近付いたかと思ったら、また遠回りしている気がしますけど、それも良いのです。一抹の寂しさは読者も感じるでしょうから。