木村紺『からん』1巻、講談社

からん 1 (1) (アフタヌーンKC)

この人は本当に多才なんだなあ、と思う。『神戸在住』などで見せた、独白や語りで繋いでいく手法は影を潜め、この作品はきちんとしたコマ割を繋げていく・・・要は漫画じゃないか!

ただ、きちんとメリハリがついており、『巨娘』などで見せたハイ・テンションはここでも健在です。0話では、登場人物の羅列で終わってしまい(まだ本編では出てこないキャラも登場)、何が何だか分からなかったのですが、1話からは何とも三者三様な感じのキャラクターたちが次々と出てくる。ここらへんのキャラの書き分けの見事さは『神戸在住』で十分堪能したはずだというのに、主人公の独白というフィルターを通していたのと、そうではない場合とではまた違った味わいがあります。

そう、説明を忘れていましたが、柔道漫画です。中高一貫のお嬢様系の学校での柔道漫画ということで、精鋭が揃っているわけではありませんが、そこは初心者・経験者織り交ぜながらの活劇が楽しめます。しかし、個人的にも柔道経験者なのでよく分かりますが、初日から乱取りは危険でしょう。受身が取れないのですが・・・というところで、2巻へ続きます。しかし、主人公を筆頭に登場人物らの魅力によるのか、ただ中高一貫校に外部入学して、様々な視線を跳ね返して、柔道をするだけの漫画だというのに、この魅力は何だろうか。