熊倉隆敏 『もっけ』 6巻 講談社

もっけ(勿怪) 6 (6)

妖怪や霊が見える姉と霊などに憑かれやすい妹という姉妹の存在。そして、彼女らに博学の知識で意見をし、時には自らが助けに入るという祖父という存在。この3者の関係は非常にマッチしていて、物語としては完成度の高いものでした。

そこには語り部としての祖父が、妖怪や霊魂の話を伝えるという一つの形式が見事にトレースされたものであったからこそ、読み手としても安心感のある作品と認識できたに違いありません。

ただし、この巻から一つの体系は崩れていきます。

姉が高校へ進学し、寮生活を選んだこと。妹も中学へ進学し、部活動を始めたこと。そう、我々が辿ってきた「日常」を彼らも歩み始めたわけです。「日常」から「非日常」へと入り込む漫画作品が多い中、我々が「日常」と認識する世界へと主人公たちが場を移してきました。もちろん、妖怪や霊が見えるといった様相はそのままに。

それとともに、祖父の対応も変化していきます。見守っているという態度は変わりませんが、そこから先の判断を彼女ら自身に任せるようになりました。姉の受験を迎えての突き放しと見送る時の言葉、その全てが彼の立ち位置を指し示しています。

時に昔のエピソードが挿入されるようになり、物語の変化も緩やかな状態で、しかし、確実に進んでいきます。さて、この後、どうなっていくのか。