田辺イエロウ 『結界師』 13巻 小学館

結界師 13 (13)

「やっぱり変な子。壊す為にあげたのに守る為に使って・・・」
本書50頁

基本的に結界師が好きな理由は戦闘が全て受け身だからでしょうか。何を振りかざすわけでもなく、透明なバリアみたいなもので自分自身を覆って守り、逆に敵は閉じ込める。彼らの行動自体もまた烏森という土地を守る、という非常に受け身なもの。徹底して守りの姿勢を(恐らく主人公は無意識的に)貫き続けることによって物語としては好感を抱けるものになっているのかもしれません。

しかし、不満も述べよう。志々雄という友人を亡くし、そしてその仇を無意識の中で討ちながらも、帰ってきた日常の中では彼の存在が指摘されることはない。少年漫画だからとはいうものの、これは単純に主人公の幼さを指し示すものなのでしょうか。もしくは時音に叩かれたことで、(彼自身の心の内はともかく)対外的には全てが昇華されたということなのでしょうか。どちらにせよ、その単純さが強さとして描かれていますが、単なる幼さとしか見えません。

実際、幼いのですから、構わないのですが。まあ、影宮の性別はどうでもいいとして、花の妖怪さんは残念ですね。