荒川弘 『鋼の錬金術師』 13巻 スクウェア・エニックス

鋼の錬金術師(13) 初回限定特装版 荒川 弘 スクウェア・エニックス 2006-03 by G-Tools

「まるで神への祈りじゃないか」

　たった一言で見せ場を作り上げてしまうのが、この漫画の凄さでしょうか。主人公たち・軍・スカー・ホムンクルス・リン等々、様々な諸側面を複雑に混じり合わせながら、話を形成していくというのに、たった一言でその全てをもぎ取っていくほどの影響力の形成が可能であるということ。盛り上げて、盛り上げて、そして客観性溢れる言葉を何気なく挿入する。混然としながらも、同じコマの中ですらシリアスとギャグが同居しながらも、最後には一つに集約していくその手法は毎回感心しきりです。

　ただ一つ疑問、というより分からなかったのは「肉体と魂は精神によってつながっている」ということであれば、扉の前にいたアルの肉体を動かしているのは何なのでしょうか。魂が鎧にあるわけで、精神・・・？いや、しかし。よく、わからん。まあ、難しいことは別に良いでしょう。

　次巻以降はどう足掻いてもストーリーが大きく動かざるを得ない布石が、この巻にて提示されたわけです。これまたAll sideにおいて。どう回収していくのか、楽しみであり、そして、どう壊していくのか。

「裏表の無い性格だと自負しております」

　ホークアイ中尉には頑張って欲しいものです。ちなみに初回版買ったのでトランプ付きでした。本屋に山のように積んでたけど。